収入を得ると支払わなくてはいけない「税金」。仕事で得る収入だけでなく、副業などで得る収入も金額によっては納税の義務が発生します。ギャンブルも勝った場合には利益が発生しますが、手に入れた利益に税金はかかるのでしょうか。税金の未払いは「脱税」とされ、罰金等のペナルティが課せられることもあり、知識がないと不安ですよね。
そんな疑問をお持ちの方に向けて、ギャンブルで発生する利益には税金はかかるのか、支払いや確定申告の必要はあるのかを解説していきます。

ギャンブルで勝った際の利益には税金がかかるのか?
ギャンブルで得た利益には税金が課せられます。
- 競馬/競艇/競輪
- パチンコ/スロット
- オンラインカジノ(ゲームの種類問わず)
- ブックメーカー(eスポーツブックなど)
ギャンブルには上記のように様々な種類がありますが、どのギャンブルに対しても所得税が課せられ、課税対象となります。
海外サイトで得た収入も課税対象になる?
日本の居住者(※以下に詳細説明あり)の場合、海外のサイトから得た収入であっても課税対象になります。
※居住者について
以下に当てはまる方は、日本の「居住者」に当てはまります。
- 日本国内に住所を有する(外国人労働者の方も、契約等の滞在期間が1年未満など明らかな場合を除き、入国後直ぐに「居住者」と推定されます。)
- 日本国内に1年以上「居所」を有する個人(居所=性格の本拠でなくても、現実に居住している場所)
いくら以上の利益で税金を支払わなくてはいけないのか
所得の種類は10種類あり、種類に応じて税金の計算方法が異なります。ギャンブルで得た利益は、基本的に「一時所得」に該当します。
一時所得には「50万円」の特別控除額が設けられているため、利益が「50万円以下」の場合は課税の対象外になります。したがって、50万円以上の利益が発生している場合には「一時所得」として課税対象になります。
所得税の支払いについては「収入の有無」によって異なります。「ギャンブル以外にも収入がある場合」と「ギャンブル以外に収入がない場合」では税金の支払いについてルールが異なるため、以下にて説明をしていきます。
会社員や個人事業主などギャンブル以外にも収入がある場合
会社員・アルバイト・個人事業主などギャンブル以外にも収入を得ている人の場合、1月~12月までの1年間で一時所得の控除額(50万円)を超えた金額から税金がかかります。
ギャンブルでの利益が50万円を超えた場合は自身で確定申告を行い、税金を支払いましょう。ただし、給与所得者の場合「一定の収入を超えるまで」確定申告を行わなくても問題はありません。確定申告の詳細については【ギャンブルの利益を確定申告する必要はあるのか】の項目で解説をしています。
ギャンブル以外に収入がない場合
ギャンブル以外に収入を得ていない人の場合、1月~12月までの1年間でギャンブルで得た収入が「126万円」を超えた金額から税金(住民税)がかかることになります。
所得税については、ギャンブルでの利益が50万円を超えると控除額以上になるため「一時所得」が発生しますが、ギャンブル以外に収入がない場合は「基礎控除」によって所得が控除されます。基礎控除とは全ての人に適用される「48万円」の控除のことです。この控除によりギャンブルでの利益が146万円まで(総所得額が48万円)の場合は所得税が「0円」になります。

ギャンブルで得た「利益」の計算方法
ギャンブルで100発100中利益を得るというのは、ほぼ不可能ですよね。そのため、利益だけでなく「損失」も発生します。その場合「利益は損失を差し引いたものになるのか」という疑問を持つ方もいると思いますが、税務署に申告する利益に「損失額」は含みません。
▼直近1年間のブックメーカー損益
勝利ベット(=払戻金-掛け金) | 敗北ベット |
---|---|
100万円 | 200万円 |
例として、直近1年間のブックメーカーでの損益が上記だったとします。勝利ベット100万円・敗北ベット200万円の場合は、100万円の赤字になりますよね。しかしこの場合でも「利益に損失額は含まれない」ため、勝利ベットの100万円に所得税がかかります。
ギャンブルの利益にかかる税金の計算方法
既に説明をしたように、ギャンブルでの利益は基本的に「一時所得」に該当します。さらに一時所得には「50万円」の特別控除額が設けられているため、一時所得の金額を求めるには以下の計算式で計算ができます。
一時所得=(利益-特別控除額:50万円)÷2
所得税は個人の所得に対してかかる税金です。そのため「1年間全ての所得金額」で計算をする必要があります。上記で計算した「一時所得」に仕事の収入などの所得と合算し、以下の計算式で計算をすることができます。
所得税額=所得額(一時所得+給与等の全ての所得)×所得税率-控除額
所得税率と控除額については、以下の表を参照してください。
▼総所得金額に応じた所得税の税率と控除額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁ホームページ No.2260 所得税の税率 より
ギャンブルの利益を確定申告する必要はあるのか
ギャンブルで利益を得た場合には、確定申告が必要です。しかし、稼いだ金額が少ない場合には確定申告が不要な場合もあります。
確定申告については「会社員・アルバイトなどの給与所得者」「個人事業主」「無職」によって金額がことなるため、以下で解説をしていきます。
会社員・アルバイトなどの給与所得者の場合
ギャンブル収入以外に勤務先から給料をもらっている給与所得者は、一時所得の控除額「50万円を超えたときから」税金がかかります。しかし、ギャンブル収入が「90万円以下」であれば確定申告をしなくても問題ありません。ギャンブル収入が90万円以下でも確定申告をするという場合には、90万円以下でもギャンブル収入を申告する必要があります。
また、ギャンブル収入が90万円以下だとしても「住民税の申告」が必要になります。住民税の申告はネットで作成できる場合もありますが、基本的には申告書に手書きで記入することが多いです。そのため、ギャンブル収入が50万円を超える場合には、ネットできる確定申告をした方が簡単に手続きが済むのでおすすめです。
個人事業主の場合
ギャンブル以外に収入を得ている個人事業主の場合は、一時所得の控除額「50万円を超えたときから」税金がかかります。給与所得者にように「●円以下は申告不などの決まりはない」ため、確定申告にてギャンブル収入の申告を行いましょう。
無職の場合
ギャンブル以外に収入を得ていない方は、ギャンブル収入が一時所得の控除額「50万円を超えた場合」基本的に確定申告で「一時所得の申告」を行うことになります。しかし、基礎控除により「146万円(総所得額が48万円)以下」の場合は所得税が0円になるため、確定申告をする必要はありません。

ギャンブルの利益にかかる税金を支払わなくてもばれない?
ギャンブルでの利益、とくにオンラインカジノやブックメーカーなど海外のサイトを利用するものは支払わなくてもばれないと思っている方もいるかもしれません。しかし、利益は銀行振込や小切手など「記録に残る方法」に限られます。そのため、税務署側がお金の流れを確認できる形で残り、納税していない場合には脱税とみなされてしまいます。納税は義務のため、課税対象になる利益を得た場合には必ず支払いましょう。
万が一納税しなかった場合は脱税とみなされ、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、もしくはその併科(両方)のペナルティが与えられてしまいます。さらに、脱税が発覚すると「加算税」が追徴課税されます。
加算税については以下の項目で解説していきます。
申告漏れの加算税
申告漏れによる加算税は以下の3つです。
過少申告加算税: 申告期限内に申告したが、支払い金額が少なかった場合に課税される。5%~15%
無申告加算税: 定められた申告期限までに申告をしなかった場合に課税される。10%~20%
不納付加算税: 源泉所得税を納付期限までに納めなかった場合に課税される。
所得隠し・脱税の加算税
所得隠し・脱税による加算税は以下の通りです。
重加算税: 納税額を意図的に偽装・隠蔽したうえで、無申告・過少申告を行った場合に加算される。修正申告によって支払うべき税額の35%ないし40%、最大で50%の税額が加算される。
「申告漏れ」と「所得隠し・脱税」では、追徴課税の額が大きく変わってきます。ばれないだろうと支払いを行わないと大きな追徴課税が課せられるので、期限内に確定申告・支払いを行ってください。
ギャンブルの利益は会社にばれる?ばれないようにするには?
通常会社員の方の住民税は給与から天引きされています。住民税は所得に応じて決められているため、住民税の金額が大きいと会社での給与以外に収入があることがばれてしまう可能性が高いです。ギャンブルでの収入を会社には知られたくないという場合は、確定申告時に「自分で納付する(普通徴収)」を選択することで、追加分の住民税を自身で支払うことができるため、会社に知られずに納付することができます。
普通徴収を選択した場合は、納付書が郵送されてきます。住民税は基本的に金融機関・コンビニエンスストア・役場の窓口での現金納付ですが、市区町村によってはクレジットカード払い・スマートフォンの決済アプリで納付できる場合もあります。支払い方法は納付上に記載されている場合が多いので、手元に届いた際に確認してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、ギャンブル収入における税金の支払いや確定申告について解説をしました。
ギャンブルやオンラインカジノでの税金については、支払いが必要な金額や控除額など複雑な面も多く、申告方法や支払いが必要な金額を判断するのが難しいと思う方も多いでしょう。金額については明確な金額について紹介し、計算方法なども解説しています。この記事の内容を参考にして、自分は住民税の支払いが必要なのか・確定申告が必要なのかを確認してみてください。
一度理解すると難しくない内容なので、重要な内容をしっかり理解して、ギャンブルを楽しんでくださいね!